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 (幸福会ヤマギシ会機関紙 「けんさん」)


 知的革命
●知的革命(94)−2005年7月号掲載−
社会愛主義社会(75)  吉本隆明氏との対話(三)

 1990年5月の恒例のヤマギシズム散財まつりは約十万人の人出で賑わった。なかでも子供楽園村やヤマギシズム学園の子供たちの純なふるまいがまつりの気風をつくり参加者に深い印象を残した。また昨年11月のベルリンの壁崩壊に象徴される社会主義国家の行き詰まりに直面して、あらためて人間革命を並行する社会革命体としてのヤマギシの位置の重さを再自覚させられた時期でもあった。
 その年の七月、東京・文京区本駒込の氏の自宅を筆者らは訪ねた。ご家族の方とは以前実顕地でお会いしており面識があった。その時の会話の一部が今回の「山岸会との対話」の一節にあたると思う。他にも「ヤマギシに注文がある。だからヤマギシに入れというだけでは伝わらない。都市労働者の今の意識にしみこんでいくような伝え方を案出してほしい」といった発言が記憶に残る。
 その後93年秋に発行された精神科医北山修氏との対談集『こころから言葉へ』で、自分の居場所としての家族に替わる実験的な共同生活、共同育児の話題から山岸会に触れて、
「さて子どもの世代になって、子どもが外の世界に出て行こうとするのは当然あるだろうと思うので、そしたらどうするんですか、と言うのに対して、自由にさせるという答えを期待していたんですが、そうではなくて『そんなことは言わない』というので、その点は疑問に思ったんです」と吟味されている。
 1995年1月阪神大震災、3月地下鉄サリン事件発生。その後氏はオウム真理教を単なる殺人集団だと決めつけてはいけないと主張して世論からバッシングを受ける。
 一方ヤマギシズム実顕地も97年秋の名古屋国税局の税務調査、ヤマギシズム学園の子供の人権問題、学校設置申請の取り下げ、参画取り消し者の財産返還訴訟等の動きを伝えるマスコミの報道によって激しい社会的バッシングの嵐に晒された。
 こうした時代の波をかぶりつつ2000年9月刊行の『超「20世紀論」』では
「『無所有一体』を掲げ、私有財産はないほうがいいみたいなことをいいたいのは、ヤマギシ会が宗教的だからです」
「ヤマギシ会は、脱会する人たちに財産を返す、さらに餞別も渡す、というくらいじゃないとダメだと思います」と発言される。
 続いて2002年11月刊行の『超「戦争論」』では、理想社会なんかを唱える輩はけしからんという声もあるが、それは国家や社会を固定的に考えることが現実的に考えることであると勘違いしているからで、むしろヤマギシ会などの試みからなぜ失敗したかを検討・分析する中に、どうしたら人類にとっての重要課題であり目標でもある「自由かつ平等な社会」が実現できるかというカギが隠されているのだ、と力説されている。
 突然思いがけないところからエールを送られているようにも感じた。観念改革だけでなく実践哲学として組み立てられたイズム運動である以上覚悟はあったが、肝腎の検討・分析よりもこの間のさまざまな事象を逸らさずに受けとめ・尻じまりするようなことにせいいっぱいというのが実情であった。
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