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 (幸福会ヤマギシ会機関紙 「けんさん」)


 知的革命
●知的革命(93)−2005年6月号掲載−
社会愛主義社会(74)  吉本隆明氏との対話(二)

 もう三十年以上も前になるが、ヤマギシズム運動誌『ボロと水』第5号の編集を担当していた頃、それまで鶴見俊輔氏、見田宗介氏と続いたシリーズ座談会「ヤマギシズムの本質を探る」の出席者を今回は氏に依頼する企画をたて書面で申し入れたことがある。たしか前年連合赤軍事件がおこり他人事ではないというのが筆者らの共通認識にあった。そこで当時すでに人間の取り得る観念の形態を個人・対・共同と三つの次元に分けて考察された『共同幻想論』などの著作があり、またそれまでの発言の中に「いつかわたしも人間は他者を自分として感ずることができるかという人間の社会的存在の仕方にとっての最後の問いにこたえねばならぬとかんがえた」(『鮎川信夫戦中手記』解説) というモチーフを深奥にひめて活動されている氏こそもっとも理想社会の可能性という課題を語り合うのにふさわしい人物に映ったからだ。
 結局この企画は実現しなかった。後で知ったことだが氏にはその頃山岸会に関して次のような発言があった。
「ごく最近、わが国でも、ラディカルで頓馬な毛沢東主義の中国学者が、『山岸会』に転身した。(略)わたしたちは、三日も牛の乳しぼりに従事したら、都会の夜の巷が恋しくなるような男や女たちから、毛沢東主義の讃歌などは聴きたくはない」(『書物の解体学』)
 未だ筆者らの試みは、牧歌的でローカルでマイナーな域を出ていなかったのだろうか。
 ついで八十年代に入って芹沢俊介氏が聞く『対幻想-n個の性をめぐって』の著作では、連合赤軍の問題は共同意志の組み方が閉鎖的であったからだとの見解やイスラエルのキブツについて触れられた後に、ヤマギシ会の「一体理念」についてやや踏み込んで
「男女の結びつきの次元というのが共同体の次元と同一化してしまうことです。そこがものすごくきついんじゃないでしょうか。(略)ふたりでいるんだけれども、絶えず脅かされているといいますか、全部公開されているみたいな、そういう心理状態に絶えずさらされる」と危惧される発言や
「ただ、これを人におよぼす原理としてとか、全部がこうなったらいいという原理としてならば、たぶん有効性ははじめからないだろうなという感じがします」と疑問を投げかけられる発言がみられた。
 また季刊『仏教』でも対談者栗原彬氏の無所有の「友愛の共同体」に理想の原型を見るという発言に対して、それは魂の問題であり、もし実行しようとするならばヤマギシ会のように部分社会を作って実行する以外にないが、だがそれは結局「個人の好みの問題」で、
「もっと根底のところに文明史の必然というのがあって、だからその必然の核にぶつからないとぼくは全体の問題にはならないと思うんです」ともっと思想を一般社会の中に開くべきだと言及される。
 こうした氏からのメッセージは後に著作などで知る範囲からの抜粋だ。その頃筆者らは理想を単なる方向性や観念的理想論に終わせないために、理想と直結する生活体の実現を一体食堂"愛和館"での暮らし方などのとりくみをとおして探る日々だった。
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